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COLUMN

『日本の“IP”が持つ可能性~日本“IP”的可能性~』

2018年7月9日

前回のコラムでは、香港フィルマートの大まかな概要をご紹介しました。

さて、今年のフィルマートで開催されたシンポジウムの中で、特によく耳にした言葉が“IP”です。“IP”という言葉にあまり馴染みのない方も多いとは思いますが、“IP”とは知的財産:Intellectual Property のことで、

法律で権利保護の対象となっているものには、著作物(著作権)や特許(特許権)、商標(商標権)、意匠(意匠権)、肖像(肖像権)などがあります。

また、エンターテインメント業界においては、知名度や過去の実績が顕著で、有力な作品タイトルやシリーズ、キャラクターなどを指して“IP”と呼ぶことが多いようです。近年の中国動画配信サイトの躍進に伴い、中国国内では数多くのドラマや番組の制作会社が誕生しました。

動画配信プラットフォームを運営する会社は、有料会員の維持及び新規会員を開拓する為、各社差異化を図ろうと、よりバリエーションに富んだ、オリジナルコンテンツが必要です。

ですが、あまりにも急激に市場が拡大した為、核である作品の“中身”に対してゆっくり時間をかけ、“中身”を生み出す人材を育成する時間が足りず、むしろ、「今の波に乗り遅れたら損だ!」と、多くの制作会社が一斉に似たような作品を制作した結果、作品数が過剰となり、視聴者の厳しい批評を受けることとなりました。

こうした流れを受け、各動画配信プラットフォームを運営する会社は、所謂“コンテンツ”の質を最優先に考えることにシフトし、例えば中国動画配信最大手の爱奇艺(iQiyi)では、脚本家やクリエイターを育成する為、賞金を付けたコンテストを開催するなど、中国国内において優秀な人材を確保しようと積極的に動き出しました。しかしながら、人材の発掘・育成にはある程度時間が必要となります。スマホ普及に伴う、巨大な中国動画配信市場は待ってはくれません。

そういった状況の中で、一番早く、尚且つ高品質な“コンテンツ”を多数保持していたのが日本や韓国であったのです。

従って、多くの中華系の制作会社や動画配信サイトは今、優良な“IP”を巡って、各社権利の争奪戦を繰り広げています。特に、日本のゲームやマンガ・アニメ、その他映像作品や出版物はアジアにおいて注目度が高い為、ターゲットとなっています。しかしながら、以前のように単純に日本のドラマの放映権を購入し、そのまま中国で配信するといった形だけではなく、最近では、日本の作品のリメイク権を購入し、中国市場で人気が出るような形に作り変えるケースが増えてきています。

2018年4月よりフジテレビ系月9枠で放送された『コンフィデンスマンJP』も『コンフィデンスマンCN』『コンフィデンスマンKR』という形で、中国と韓国でドラマ化されることが、まさに今年の香港フィルマート開催中に発表されました。またTBS系でOAされ、日本で人気を博した『深夜食堂』も中国語版にリメイクされ、昨年中国国内で大きな話題を呼びました。しかしながらこちらの作品は有名な監督や俳優を使ったものの、設定や内容が中国の実生活とかけ離れていたことや、スポンサー企業が目立ちすぎた等の理由で、中国ではあまり評価が上がらず、むしろ、日本のオリジナル作品の評価が再注目されるといった現象が起こりました。

エンターテイメント業界のボーダレス化は、スマホや5Gの普及により、今後更に加速していくものと思われます。日本の“IP”をどう有効活用し、アジア合作という形に生かしていくのか?日本にとっても大きな課題と挑戦になっています。

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