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COLUMN

『5Gや新技術がエンタメを変える? 5G及新技術会改變娛樂產業?』

2019年4月15日

米中貿易摩擦に関するニュースによって株や為替が乱高下する昨今、特によく耳にするようになったのが「5G」、「ファーウェイ」、「ZTE」といったキーワードではないでしょうか?

現行の「4G」の次を担う、次世代通信の様式が「5G」であり、データの通信速度やデータ量は「4G」の100倍に増えると言われています。この次世代通信覇権を巡り、今、米中で“新冷戦”ともいえる、摩擦が起こっているのです。“GAFA VS BAT”という言葉をお聞きになった事がある方もいらっしゃるかもしれませんが、第4次産業革命の礎となる「5G」が実用化されれば、IOT、AI、ビッグデータ、フィンテック等新技術の活用を通じて、私たちの生活は大きく変化します。そして、当然エンターテインメントの分野においても、その大きな波は押し寄せてきます。

特に影響が大きいとされるのは、動画配信業界です。5Gが実用化されれば、ユーザーは今よりはるかに高速で、且つ高画質の作品を様々なデバイスで、好きな時間に視聴できるようになります。一説によると、仮に5Gが実装されることになれば、4K高画質の2時間を超える作品も、約2秒でダウンロードが可能になるそうです。またウェアラブルデバイスを用いた体験型の作品が出現するとも言われています。まさに、スティーヴン・スピルバーグ監督の「レディ・プレーヤー1」のような世界観で、観客が自ら体験するような作品が生まれる日がそう遠くないかも知れません。

さて、今年の香港フィルマートでも、やはりエンターテイメント業界と、新技術は不可分な関係にあるとして、シンポジウムではこれまで登壇しなかったような領域の研究者やリーディングカンパニーの幹部が、ブロックチェーンやAR・VRといった次世代技術を紹介するだけでなく、新技術と既存メディアとの協働の可能性について熱く語っていました。このシンポジウムだけ聞いていると、もはや自分が何のマーケットに参加しているのか、わからなくなってしまう程でした。

シンポジウムでも繰り返し話されていたのは、5G通信によって生まれる新たなエンターテイメントにおいては、

①作品が提示する世界感へ没入できるか?

②インタラクティブかどうか?

③体験を他の利用者と共に共有できるか?

という3点が特に重要であるということでした。

 

①、②に関しては、VR・AR技術の進歩が重要で、ウェアラブルデバイスの進化によって、より現実感のある体験が可能となります。グラス型のデバイスを装着し、センサーが組み込まれた特殊なスーツを着ることで、あたかも自分が物語の中にいるような没入感や臨場感を、そしてスーツに内蔵されたセンサーを介した振動や収縮、温度変化といった物理的な刺激によって、まさにインタラクティブな体験を、作品を通して感じることができます。

また、③に関しては、高速通信を利用し、世界中の人々とリアルタイムで作品内の出来事を共有し、共感することができるようになります。イメージとしては少しゲームに近いですが、視聴者の選択によって、ストーリーが変わるだけでなく、どの役から物語を体感するか?といったことまで選べるようになるそうで、従来のテレビや映画といった一方向的な流れではなく、正真正銘の双方向性のエンターテイメントが生まれるとのことでした。映画・ドラマ・アニメ・ゲームといった分野は、新技術によって、これからますますボーダレスになり、“融合”していくようです。

また、5Gは作品のあり方だけでなく、そのマーケティングにまで大きな影響を与えます。

中国最大手の動画配信会社、愛奇芸(iQIYI:有料ユーザー数は約8000万人)は、膨大な視聴データ等のビッグデータを独自開発したAIによって分析し、作品制作に生かそうとしています。

例えば愛奇芸では、1日2~3億のアクセスがあり、そこで蓄積されたデータを余すところなく、AI分析にかけることで、より視聴者個人個人のニーズを正確に把握し、需要と供給のバランスを保とうと試みています。具体例を挙げると、中国ではここ数年、当たる!と言われていたラブコメディーや時代劇、そして既存の著名なIP原作ものが多数制作されましたが、投資目的で盲目的に多数制作されたことから、一部スターキャストへの報酬が異常に高騰し、作品の低品質化を招き、視聴者離れが進むといった悪循環が生まれ、多くの課題が見つかったそうです。AIを用いてビッグデータを効率的且つ精密に分析することで、こうしたアンバランスな状況を改善し、より効率的にオリジナル作品の制作へ注力できるとのことです。

また、幹部の話で特に印象的だったのは、これからは非主流の作品にこそ多くのチャンスがあるということでした。中国のユーザーは、独創的でプロフェッショナルな作品を求めており、高品質の作品を制作できる能力はあるが、資金繰りが厳しい小規模な会社にこそ、動画配信プラットフォームと繋がるべきだという話は、新鮮に感じました。

会社としては大きくはないが、技術があり、独創性がある日本の小規模な制作会社が、今後中国や世界中の動画配信会社と組んで、オリジナル作品を創り出す機会が増えることを切に願います。それはもはや“邦画”や“アジア映画”、“洋画”といったジャンルで括られるものではなく、世界“合作”の作品なのかも知れません。

5Gや新技術はもう既に日常生活を変え始めています。本格的に普及してからスタートを切ろうとしても、時すでに遅しです。近未来をイメージしながら、目の前にある“本物”を模索し、深化し、活用させることが、何よりも大切なことなのかもしれません。

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