Blog

2014.07.18

Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/yougooffice/www/yougo2016/wp-content/themes/yougooffice/single-blog.php on line 23
｜その拾弐

自分の娘１人より、姪3人を助けることが生物学的に正しいことを、ミツバチ先輩に教えて
もらおう！の続きです。

さあ、Q:「自身の子供を作らない働き蜂が、どうして自然淘汰で生き残り、進化上繁栄
しているのか？」の答えに迫ります。
働き蜂の血縁度を整理すると、働き蜂と女王蜂との関係は通常の母親と娘と同じで1/2です。
ところが、姉妹である子孫を残す役割の次世代女王蜂（と他の働き蜂）との遺伝的関係は
ちょっと複雑になります。
理由は、父親が一倍体であるからです。
…これ、わかりにくいので遺伝子をトランプに置き換えて考えてみましょう。

分かりやすくするために、まずは通常の父親（2n）の場合の姉妹だと血縁度はどうなって
いるか？からみてみます。
父親は1~13のカード（1n）をスペードとクローバで２セット(2n）持っています。母親も
同じくダイヤとハートで2セット。父親は精子として、1~13のカードをスペードとクローバ
から『ランダムに』1セット（1n）組みます（減数分裂）。スペードの1、スペードの2、
クローバの３…という感じです。母親も卵として同じく『ランダムに』ハートの1、ダイヤの
2、ダイヤの3…という感じです。
そして子供は、父親由来の黒いカードの1~13（1n）、母親由来の赤いカードの1~13（1n）
で都合2セット（2n）を持つわけです。
ここで、子供の姉妹が同じスペードの1を持っている確率は、スペードかクローバのどちらか
なので1/2、ダイヤの3を持っている確率もダイヤかハートのどちらかで1/2となり、これが
すべてに当てはまるので、
① 遺伝子の1/2の量である父親由来の遺伝子（黒いカード）に関して50%（1/2）の確率で
持っているので、血縁度1/4（1/2×1/2=1/4）
② 残り1/2の量の母親由来の遺伝子（赤いカード）に関しても50%（1/2）の確率で持って
いるので、血縁度1/4（1/2×1/2=1/4）
となり、①と②を合わせて1/4+1/4=1/2で、結局姉妹の血縁度は、両親や自分の子供と同じ
1/2ということになります。

ところがミツバチの姉妹の場合は、父親オス蜂は一倍体（1n）なので、トランプのカードを
1セットしか持っていません。つまり、姉妹は必ず同じ黒いカードのセット（スペードのみ）
を持つことになります。
よってミツバチの姉妹の血縁度は、
① 遺伝子の1/2の量である父親由来の遺伝子（黒いカード）に関しては100%（1）の確率で
持っているので、血縁度1/2（1/2×1=1/2）
② 残り1/2の量の母親由来の遺伝子（赤いカード）に関しては50%（1/2）の確率で持って
いるので、血縁度1/4（1/2×1/2=1/4）
①と②を合わせると、1/2＋1/4=3/4となります。なんと、血縁度3/4（75%）です！

これはどういうことかと言うと、働き蜂では、自分で作る子供（血縁度1/2）よりも、母親の
女王蜂が産んだ姉妹である次世代女王蜂（血縁度3/4）の方が血縁度が高く、したがって
自分の子供が生き残るよりも、姉妹が生き残った方が結果として自分の持つ遺伝子がより残る
ということです！
これが、Questionの答えです。

生存競争、自然淘汰的には、血縁度の高さなど、少しでも自分の遺伝子が残せる選択をした
方が正解であるということなのです。
ここでいよいよ、「自分の娘1人を助けるか、3人の姪を助けるか。」について考えます。
自分の娘は血縁度1/2です。そして、姪の血縁度は、姉妹の血縁度1/2のさらに半分なので
1/4になります。ところが、これが３人になれば、自分と同じ遺伝子の量は1/4×3で3/4に
なります。1/2よりも多い3/4 の遺伝子量。
これが、生物学的な正解が、姪3人の方を助けることである理由なのです。
冷酷なようですが、これが姪ではなく年下のいとこ3人（血縁度1/8×3=3/8）ならば、
自然淘汰上有利な正解は自分の娘１人を助ける方になるのです。
この、個体自身の子孫ではなく自分の持っている遺伝子の子孫の生存競争であるという
考え方、生命進化の真理であり、科学者の間で広く受け入れられています。
それでですね、ちょっと飛躍しますと、チンパンジーと人間の遺伝情報は98.8%が同じと
言われていますが、ってことは、人間同士なんて遺伝子的にはもうほとんど一緒ですよね？
（ここかなりざっくりですが笑）人類皆兄弟という言葉がありますが、遺伝学的にも本当に
的を得ている内容だということです。
だから、ねえ、みんなもっともっと仲良く生きていこうぜ！、ミツバチ達みたいにさ。

※ミツバチは外敵を毒針で刺して攻撃しますが、刺した後はちぎれてしまうので必ず死んで
しまいます。それでも、生殖担当の女王蜂が生きていれば、自分たちの遺伝子は子孫に
ちゃんと受け継がれます。直接死なないまでも、1日13時間だろうがまさに気兼ねせずに
姉妹のために死ぬまで働けるということです。働き蜂すげー。